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唯一の相談
おい、キットン。
ちょっといいか。

いや、まぁ、大したことじゃねぇんだけどな。
一応パーティで一番年長ってことで聞きてぇんだけどよ。

あーーー……。
ある知り合いのヤツの話なんだけどな。
なんか、そいつが同じパーティの女が好きだ…ってぇーんだよな、その知り合いがさ。
でもよ、その女がえっれー鈍感で色気も全然なくて、そんなこと気づきもしないんだと。
それどころか、いつまでも「皆で仲良くがいい」っていうオーラを出しまくりで
言い寄るなんてとてもじゃないけどできねぇっつーんだ。
その知り合いが。

でだ。
そいつは女に自分の気持ちも知ってもらいたいんだか、どうすればいいかって
聞くんだよ、その知り合いが。


え? その女、パステルに似てる?
そりゃあ……冒険者の女にありがちなタイプなんじゃねぇの?
知り合いの話なんだから、知るかよ。


……んで、どうよ。
キットンならどうする?

え? おれ?
おれだったら……

って、それがわかんねぇからキットンに聞いてるんだろ!

男の方はどういうヤツかって?
……器用。有言実行。男気がある。女に優しく、男に厳しい。
筋を通す。えーー、つまりはそれなりに男前。
クレイみたいなタイプ? 全然違ぇーよ。今の聞いてなかったのかよ。
だったらおれかって?
……いや、違うけどよ。何せ知り合いの話だからよ。
でもまぁ、わかりやすい例えならそう思ってもらってもいいぜ。

で、そうだとしたらどうなんだよ。


え? 無理? 当分このまま?
おめぇ、それじゃ何の相談にもなってねぇじゃんか!
っていうか、さっきから何だよ、その薄気味悪い笑いはよ!

自分のことすら相談しないのに知り合いの相談なんかするから、だと?
はっ、そりゃ、俺には悩みなんてねぇからな。
細けぇこといちいち気にすんなよ。


…ん?
敢えて言えば「玉砕覚悟でぶつかるのみ」?

……それができりゃ苦労しねぇんだって。
あ、いや、こっちの話。

だぁら、なんなんだよ!その笑いは!!
ったく、キットンなんかに相談したのが間違いだった。
あぁ、気分悪りぃ。
カジノに行ってくるわ。




……パタン




……危なかったぜーーー!!
あやうくキットンにバレるところだった。

やっぱり思い切ってぶつかるか、当分このまましかねぇのか……。
いや、待てよ。
キットンに相談ってところが間違いだったかもしんねぇ。
口数少ねぇけど、ノルの方が親身になってくれそうだもんな。
よし。

あ、いた。

おーーーーい、ノル、ノルーーーーッ! ちょっといいかー?




Fin
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